旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライター岩佐 史絵
  • 2016年8月31日更新
贅沢☆旅スタイル
Writer:岩佐 史絵

その姿、もはや神秘的! 「遊行仏」に会いに、スコータイへ

世界遺産に登録されている公園は3か所。遺跡公園めぐりだけでもかなりの見ごたえzoom
世界遺産に登録されている公園は3か所。遺跡公園めぐりだけでもかなりの見ごたえ
 学生のころに初めて一人旅をした、その行き先がタイだった。それから二十数年経った今、ちゃんと数えてはいないがおそらくタイに行った回数は40回をくだらないと思う。それほどまでにハマり、愛する旅先というのはそう多くはない。それなのに。そ・れ・な・の・に!! タイ文化発祥の地、スコータイに行ったことがなかったのだ、あたくしは――。
 なんたる不覚。なにしろスコータイはタイ民族によってはじめての王朝が建てられた場所、つまりタイ発祥の地である。「ふつう一番に行くでしょ?」とおっしゃるなかれ。バスなどで行くものだと思っていたので、ついつい後回しにしてしまっていたのだ。だが、実はスコータイにはタイ初の民間航空会社、バンコクエアウェイズが私設空港を建設しており、バンコクから飛行機で、わずか1時間15分で行けるのである。うかつにもほどがある! というわけで、バンコクで乗り継いでスコータイへ行ってみた。
今にも動き出しそうなほど、しなやかな仏像。これは確かに珍しいzoom
今にも動き出しそうなほど、しなやかな仏像。これは確かに珍しい
まずは空港にびっくり
 いざ、スコータイの地にランディング! 到着して機内から降りると、シュールな光景が広がっている。いきなりキリンがいるのだ。シマウマもいる。ゾウもいる。空港なのに。ケニアだって空港には動物いなかったのに。先述のとおり、このスコータイ空港はバンコクエアウェイズの私設空港なわけだが、地域に動物園がないため、子どもたちが気軽に動物を見られるように、と無料動物園をもつくったのだそうだ。緑が多く、かわいらしいリゾート感あふれる空港それ自体がなかなか印象的。スコータイへの期待値がぐんと高まる。
 
 実はスコータイではぜひぜひとも見たいものがあったのだ。それは世にも珍しい「遊行仏」。仏像といえば座禅を組んでいるとか、涅槃の姿とか、さまざまなポーズのものがあるが、全体的に“静”の印象だ。だがこの遊行仏は、立って歩いている、“動”の姿をしている。これはスコータイ王朝独自のものだそうで、確かに、仏像天国のタイにおいてもこれまでほかの場所で見たことがない。スコータイに来なければ見られないその姿は、いったいどんなだろうと胸躍らせつつ、やってきたのはラームカムヘーン国立博物館。こぢんまりとしているが、スコータイ王朝の成り立ちを遺跡とともにじっくり学ぶことができる博物館だ。
 展示されているブロンズの遊行仏の像は14世紀のもので、英語の説明ではあっさりと「Walking Buddha(歩くブッダ)」とだけ書かれている。いやいや! これ、悟りを啓いたブッダが立ち上がり、人々にその悟りを広めようといざ、歩き出したその第一歩を表現したものなんですってよ! と思わずそのシンプルな説明につっこみをかけたくなるが、その晴れ晴れとした表情、今にも腰巻が揺れだしこちらにもう一歩進んできそうなその優雅な曲線などに目を奪われ、じっと静かに見入ってしまう。
 ちなみに、ほかの仏像たちも顔つきがなんとなくほかのエリアと違う。こういうところが、仏像を愛でるポイントなのだが、スコータイの仏像は総じてやわらかな笑みを浮かべているような印象だ。
仏像の表情はそれぞれなにかを物語っているよう。これは一番人気のある像だzoom
仏像の表情はそれぞれなにかを物語っているよう。これは一番人気のある像だ
 その“スコータイ度”が最も高い優雅な仏像といえば、なんといってもスコータイ歴史公園内のワット・シーチュムの仏像だろう。四方を壁に囲まれ、遠くからはその全容を見ることはできない。だんだん近づくにつれ、その姿が隙間から見え隠れするのだが、まずはそのアプローチ自体が楽しい。そしてたった一か所の壁の割れ目から仏像が囲まれている壁の中に入るのだが、ここは混んでいてなかなか入れない。仏像はすぐそこなのに!
 この仏像のなにがすごいって、じっとこちらを見ている、その表情だ。やわらかに笑みを浮かべつつ、とはいえ夢心地のようでもあるその表情は、なんともいえない癒しを与えてくれる。スコータイには世界遺産に認定された3つの国立公園があり、そこには数多くの仏像があるのだが、このワット・シーチュムの仏像が一番人気があるというのもうなずける。
 ほかにも、当時栄えた3つの街、首都スコータイ、シーサッチャナライ、カンペーンペットの遺跡がのこされており、広大なエリアにわたって初期のタイ文化を垣間見ることができ、タイ好き、そして仏像好きならば一度は訪れておきたい場所のひとつである。
昔ながらのタイの(ちょっといい)家をイメージしたルアンタイホテルzoom
昔ながらのタイの(ちょっといい)家をイメージしたルアンタイホテル
 ところで、ここはパワースポットとすらいわれ、かつタイ人にとって自分の始祖を訪ねる旅先でもあるにもかかわらず、スコータイは田舎である。それゆえ、ラグジュアリーホテルなどは特にないのだが、だからこそうれしいのはシンプルでローカルなお宿が充実していることだ。
 たとえば、シーサッチャナライ公園にほとんど隣接している「レジェンダ スコータイ(https://www.legendhasukhothai.com)」。ゴージャス感はないものの、腰を据えて滞在するなら十分なサービスのあるリゾートだが、なにがいいって、シーサッチャナライ公園に歩いてアクセスできることだ。公園内は広大ゆえ、気軽にすべてを見て回ることができるわけではないが、例えば早朝や夕刻の散歩など、一般の観光客があまりいない時間帯に訪れることが可能なのだ。
 もうひとつ、すっごく気になったのが「ルエンタイ ホテル(http://www.rueanthaihotel.com)」。ここはお世辞にも高級とかフルサービスとか言えるところではないのだけれど、まさにタイの田舎家に滞在するような、素朴なつくりが魅力だ。室内に入ってくる光の加減とか、エアコンや扇風機からではないそよとした風とか、そういうものが一体となってこの場所にいることを楽しませてくれそうだ。こういう時間をのんびりと過ごすことこそが旅の醍醐味だよねぇ、と思う。
夜間はライトアップされた遺跡とそこで行われるショーが。わかりやすいストーリーがナイスzoom
夜間はライトアップされた遺跡とそこで行われるショーが。わかりやすいストーリーがナイス
 ほかに、宿泊もできるゾウの保護センターがあったり、その昔日本にも輸出されていた焼き物「サンカローク焼き」(日本では「スンコロク焼き」と呼ばれた)を体験できる施設があったりと、地味ながらアクティビティが豊富なスコータイ。食事も北部ならではのもっちりもち米系だし、激しく動き回るというよりのんびりまったりの旅がおすすめ。スコータイ公園では夜間に遺跡がライトアップされ、タイの歴史がわかる寸劇も行われるので、夜はそうしたイベントに参加するのがいいだろう。世界遺産なのに、こんなにぎらぎらしちゃっていいの? とちょっとびっくりすることは請け合いだ。
 仏像の表情に心洗われ、静かな空間でまったりと時間を過ごし、地味にのんびりとタイらしさを満喫するための旅先。それがスコータイである。
取材協力:タイ国政府観光庁 http://www.thailandtravel.or.jp
Writer:岩佐 史絵
旅に貴賎なし! 旅をしていないと血中旅度が下がってお腹が痛くなってしまうほどの旅好きが高じてトラベルライターに。ONもOFFも旅一色。妊娠中も子育て中も闘病中も行きたいところには必ずでかける体力自慢。著書『人生のサプリを見つける旅ガイド』(ソニーマガジンズ刊)ほか。
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