旅の扉

  • 【連載コラム】トラベルライターの旅コラム
  • 2018年9月10日更新
よくばりな旅人
Writer & Editor:永田さち子

シカゴのモダンアート鑑賞に、シャンパンブランチは欠かせない! 【連載】建築&アート、音楽と食を巡るシカゴの旅 Vol.5

パーティールームでは、ファミリーが誕生日のお祝いのまっ最中。小さなころからこういう環境で過ごせるとは、うらやましい!zoom
パーティールームでは、ファミリーが誕生日のお祝いのまっ最中。小さなころからこういう環境で過ごせるとは、うらやましい!
シカゴの美術館といえば、メトロポリタン、ボストン美術館と並びアメリカ三大美術館に数えられる『シカゴ美術館(The Art Institute of Chicago)』が知られていますが、今回訪れたのは、『シカゴ現代美術館(The Museum of Contemporary Art, Chicago)』。MCAの名称で親しまれている、現代美術専門の美術館です。

若手アーティストの登竜門、MCA
MCAは1967年に開設し1979年、この場所に移転しました。現在の建物はヨーゼフ・パウル・クライフスというドイツ人建築家の設計ですが、コンペでは日本の安藤忠雄氏も最終選考まで残ったそうです。
シカゴを代表するショッピングエリア、マグ・マイルの近く。2017年に大規模な改装が終わったばかりです。zoom
シカゴを代表するショッピングエリア、マグ・マイルの近く。2017年に大規模な改装が終わったばかりです。
この美術館をおすすめする理由は、絵画、彫刻はもちろんのこと、写真、ビデオや映像といった現代美術ならではのユニークな展示が見らることと、比較的コンパクトで鑑賞しやすいということ、そしてミュージアムカフェ『マリソル(MARISOL)』の存在。このカフェは2017年の大規模なリニューアルによってオープンし、今シカゴで注目スポットのひとつなのです。

料理も空間もアートそのもののミュージアムカフェ『マリソル』
マリソルとは、パリで生まれの女性アーティスト。1960年代にニューヨークで流行したフレンチポップアートの代表的な存在で、アンディー・ウォーホルのショートムービーにも紹介されているそうです。その彼女の作品からインスパイアされたというだけあり、空間デザインもメニューもアーティスティック。
「こんなおしゃれな空間で食事するのに、やっぱりスパークリングは欠かせないわよね!」
と、館内鑑賞前にとりあえずは乾杯です。
ミュージアムカフェの『マリソル』で乾杯! 店名を冠したサラダと、スタッフおすすめのドーナツをスパークリングとともに。zoom
ミュージアムカフェの『マリソル』で乾杯! 店名を冠したサラダと、スタッフおすすめのドーナツをスパークリングとともに。
近隣の契約農家から仕入れる新鮮な食材が自慢、ということで選んだのは、その名も『マリソルサラダ』。フレッシュなレタスにリンゴのスライス、マカダミアナッツとペコリーノ、そしてドレッシングは、MoMA(ニューヨーク近代美術館)刊行の『MoMA Artists’ Cookbook』のレシピから作られたものだそう。この本、画家や彫刻家30人のアーティストの食に関するエピソードや、お気に入りのレシピを紹介したユニークな料理本として知られています。ドレッシングひとつにも、こんなふうにアートへのこだわりがみてとれます。

ミュージアムツアー&おしゃれな館内をクルーズ
ブランチの後、ほろ酔い気分でミュージアムツアーに参加しました。この時、開催されていたのは、女性写真家の企画展。モノクロとカラー、過去と現在、写真とイラストを組み合わせることで、平面のなかに二次元の不思議な世界が描かれ、なかには環境問題とかサティスナビリティとか、強いメッセージ性を感じる作品もありました。
館内は自然光をふんだんに取り入れていることが特徴。約45分のミュージアムツアーに参加してみました。zoom
館内は自然光をふんだんに取り入れていることが特徴。約45分のミュージアムツアーに参加してみました。
日本でモダンアートというと、ちょっととんがった人が集まるイメージがありますが、ここにはお年寄りのカップルからファミリー、学生のグループ、おひとり様までさまざまな層の人が訪れ、思い思いに楽しんでいる様子が印象的でした。それだけシカゴではアートが身近な存在であるということなのかもしれません。

世界が注目する美術館には、日本人アーティストの作品も常設展示
MCAの企画展は世界的にも注目されていて、英国のロックスター、デヴィッド・ボウイの半世紀にわたる活動を紹介した回顧展を誘致することに成功した、アメリカで唯一の美術館なのだそうです。また、日本人アーティストに対する評価が高いことでも知られています。たとえば、六本木ヒルズ・毛利庭園のパブリックアートで知られる森万里子氏の作品を、彼女がまだ20代だった1996年にいち早く常設展示に取り入れたり、現在ではMoMAにも収蔵されている奈良美智氏の作品を、アメリカの美術館として初めて紹介したり。また、昨年は村上隆氏の大規模な企画展が、日本でも話題になりました。
自然との調和をテーマにしたイベントスペース『The Commons』。ここでワークショップが開かれることもあります。zoom
自然との調和をテーマにしたイベントスペース『The Commons』。ここでワークショップが開かれることもあります。
ギャラリーとギャラリーの間に設けられた空間や、自由にくつろげるスペースもゆったりと設けられています。カフェとミュージアムショップは入館料不要なので、ブランチやショッピングを兼ねて訪れ、のんびり過ごすこともできます。
黄金の巨人が立つ彫刻庭園。カフェのドリンクをテイクアウトして過ごしてもいい。zoom
黄金の巨人が立つ彫刻庭園。カフェのドリンクをテイクアウトして過ごしてもいい。
『シカゴ美術館』を訪れる時間がなかったことは残念ですが、この美術館の存在を知ることができたのは、今回の旅の大きな収穫でした。MCAの入館料は$15、ミュージアムツアーは13:00のスタートで所要約45分(火曜は13:00・14:00の2回、土・日曜は12:00~15:00まで1時間おきにスタート)。ミュージアムカフェ『マリソル』は、ランチとディナー営業があります。ミュージアム鑑賞後のディナーや、バーカウンターはアフターディナーのカクテルタイムにもよさそうです。

●The Museum of Contemporary Art, Chicago(シカゴ現代美術館)
www.mcachicago.org
●協力:シカゴ観光局
choosechicago.com/jp
Writer & Editor:永田さち子
スキー雑誌の編集を経て、フリーに。旅、食、ライフスタイルをテーマとし、記事を執筆。著書に、「自然の仕事がわかる本」(山と溪谷社)、「よくばりハワイ」「デリシャスハワイ」(翔泳社)ほか。最近は、旅先でランニングを楽しむ、“旅ラン”に夢中!
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